南座の顔見世


年の暮れに、南座の顔見世へ行ってきました。いちばん後ろの席に座る。高いところから、舞台を見下ろすのは壮観だね。

「楼門五三桐」では、石川五右衛門と仇が南禅寺山門で対決する。極彩色のきらびやかな門の上で五右衛門が悠々とする姿が見せ所だね。

「元禄忠臣蔵 仙石屋敷」は、仇討ち後の四十七士が、仙石屋敷に行き公儀へ届け出る場面から、それぞれの処遇が決まって今生の別れになる場面まで。大石内蔵助片岡仁左衛門、主税は中村壱太郎(かずたろう)。
四十七士が話し、彼らの気持ちや行いが描かれていく(四十七士が座る姿を高いところから見るのは良かったな)。その中で、内蔵助曰く、「我らは徒党を組んだのではない。それぞれが主君の仇を討ちたいと考え行動したのが、集まったのだ」。厚みのある言葉だね。
忠臣蔵は仇討ちの話なんだけど、その中にいた人たちが描かれているのが素晴らしい。だから人気あるんだなあ。

六歌仙容彩 喜撰」は歌と踊り。三味線と拍子木と謡が素敵。間合いが絶妙。そしてその間合いに続く音の流れがいいの。私にぴたりと来る。日本の土地に根づいた感覚が、長い時間かけて音に集まってきたんだな。格好いい。

最後の「らくだ」は、コメディ。死んだ友だちの体を使って、人から酒や金を巻き上げようとする笑い話。げらげらと楽しんだ。元は落語だそうだけど、お芝居の方が踊りも見れるし、いいやんね。

今回は地味だったかなあ、なんて思ったけど、忠臣蔵に踊りにコメディ。良質なものがそろってたなあ。また来よう。