花背の松上げ

松上げは、洛北の村に伝わる聖火奉納の行事。
愛宕神社の鎮火神に火難除けや五穀豊穣を願うそう。




愛宕神から火種をいただく。お迎え、と呼ばれる。



河原の向こう岸、千本の松に一つずつ火を灯していく。
この松を近くで見せてもらった。太めの割り箸くらいの松に、十字の切れ目を入れ、それを20−30本くらい束ねる。縄でくくり、手で持てるだけの長さを持たせる。自然の松やにだけで、他の油はしみこませていないそう。よく燃え上がる。
火をずっと見ていた。暖かいような、懐かしいような、怖いような、神秘的なような、ただ興奮するような、いろんな気持ち。



縄を回し、かけ声と共に、上げ松の大籠に投げ入れる。
玉入れのようだね。
そして、はじめの一つが入り、火がついた。これが一の松。
それからも、人々は投げ入れ続ける。
太鼓と鉦が一定間隔で鳴らされる。入るたびに、太鼓と鉦が打ち鳴らされる。人々の歓声が上がる。



大松が倒れる。
人々が囃子詞を唱えながら、帰って行く。



神様がいる感じと、人々が楽しむ感じ。ふたつが重なって、不思議なお祭り。
この感じはあれに似てるな、と、その時は思いあたったんだよ。
なんだったかな。また思い出す事もあるかもしれない。