出西織り

夏のある日、多々野工房を訪れて、お話をうかがってきました。


  • 綿を育てる

 
こちらが綿。淡い黄色の花が咲いている。


花が枯れると、ガク(?)に包まれた部分(サク)ができる。
もう少したつと、サクが開いて、綿毛に覆われた種子が出てくる。
これを手で摘みとる。


綿は多年草
茶色の綿と白の綿、どちらも育てている。
綿は1−2年保存したりもするけれど、種を取るために毎年育てている。


  • 糸を紡ぐ


これが、綿の中の種を取り出したもの。

硬いところと柔らかいところがある。
ふとん屋さんで打ってもらうと、均一になって、シート状になる(写真の右上)。
これの端っこを、少し引っぱり出して、手でよる。


そのあとは、糸車をまわして、糸をよっていくと、糸ができあがる。


このような手紡ぎは大変なので、紡績(機械で紡いだもの)を使うことも多い。


  • 藍で染める

 
こちらが植物の藍。たで科の一年草
葉っぱは緑に見えるけれど、枯れた葉を見ると、たしかに紫や青に近い。

藍の葉を乾燥させ、室の中で数か月発酵させて「すくも」を作り、これで藍染めをする。
すくもは徳島で作られているものだそう。

 
これを、この家で1−2年保存して熟成させ、水甕で発酵させる。
温度は25℃くらいが良いので、冬は真ん中の穴で藁を焚いて暖める。
一度発酵が始まれば、あとは自分の発熱で温度が保たれる。


発酵がうまくいくと、「藍の花」と呼ばれる泡ができ、これが発酵の目安。
水甕は、毎日混ぜる。
発酵の部屋に菌が生息しているので、場所が違うと同じ方法でもうまくいかなかったりするそうな。


これに糸をつけて、染色する。
一回では染まりきらないので、何回も繰り返して染めていく。
回数によって色のグラデーションができる。
藍染めは、冬だけでなく1年中している。


  • 織る


機(はた)を使い、手織りをする。
縦糸を張り、横糸を通していく。

縦糸は、百本から千本ほどあり、けっこう大変。
足で4本のペダルを踏み、縦糸を上にあげるか下に降ろすかをコントロールする。
その間に横糸を通していく。


  • 出西織り


この家の多々納桂子さんが、50年ほど前の30歳ころ、倉敷民芸館の工芸研究所で染めと織りを学んで、この家で始めたのが出西織り。
それ以来、多々野家で三代の女性が続けている。


夫が出西窯で陶芸をしていることもあり(工房には陶芸の部屋もある)、民藝とのつながりも強い。

普段使うもの。素朴な織りの模様。しっかりした手ざわり。