大鼓の流派@京都芸術センター


石井流大鼓方 谷口正壽
高安流大鼓方 白坂信行
能楽師シテ方金剛流 宇障泓ウ成

謡と大鼓、ただその2人で描く音が気持ちよかった。


  • 能の役方

能の役方は、シテ方ワキ方狂言方囃子方(笛方・小鼓方・大鼓方・太鼓方)。
シテ方がするのは、シテと呼ばれる主役(幽玄の人物)を演じること、地謡、奏演者のキャスティング、そして演出。
ワキ方は、ワキと呼ばれるシテの相手方(生きている人間)を演じる。多くの能で、死者が生きている人間に魂の救済を求めるという図式になるそう。

  • 流派

流派は、シテ方が5つ、ワキ方が3つ、笛方が3つ、小鼓が4つ、大鼓が5つ、太鼓が2つ、狂言方が2つ。
以前は、シテ方の流派(座)が専属の座付を持っていたけれど、今は専属でなく組み合わせになった。
組み合わせは、掛け算で3600通り。
お稽古は、普段は各自でしていて、合わせるのは申し合わせと呼ばれるたった一度のリハーサルのみ。
決まり事がしっかりしているから、それができるんだそう。

囃子方は、楽器を道具と呼ぶ。道の武器という意味。
囃子の調子は一定でなく揺れ動く。指揮者もいないため、掛声により互いの間を知らせる。
気迫、ハラで伝える掛声。

  • 大鼓

大鼓は、桜の木の胴に、馬の皮をはる。胴は室町時代頃のものを使っているそう。金の蒔絵がきれい。皮は取り換え式で、毎回の演奏前に1時間ほど乾燥させてからはる。
あまりに硬いので、指あてと呼ばれるプロテクタをつける。素手では叩けない。
叩き方は、背筋を伸ばして正座し、大鼓を左の太ももの上に乗せて左手で支え、右手で叩く。右手を斜め45度に伸ばし、掛声をかけた後に叩く。まず手のひらを大鼓のフチにあて、反動を利用して指で叩く。
ドン、ツ、チ、チョンという叩き方があり、この順に大きな音になる。

流派の違いはいろいろある。
たとえば、石井流では胴の音が出るように皮をゆるくはる。高安流ではきつくはる。
そんな違いはあるけれど、流派の違いよりも個人の違いの方が大事と何度も言うてはった。